「入れてください!入れて!入れてよぉ…どうして…」
びくともしない障壁の前で崩れ落ちる。
もう何度訴えただろう。相変わらず監視カメラは無感情な眼を向けている。
後ろに広がるのはどこまでも続く荒野。
目の前にあるのは障壁(バリア)に覆われた電子都市、通称オリュール・コミューン。
6年前、新種のウイルス、『ミムルス』によって壊滅した世界で唯一のシェルター。
元は私もその内にいた一人だったけど、どうしてかシステムに弾かれてしまった。
チップが弾けたなんて何かの間違いなんだ。
だってウイルスに感染した人は皆おかしくなっちゃうんでしょう?私はまだ正常だもん……。
諦めて拠点への帰り道を歩きながら、かつて都市だった残骸たちを見やる。
そういえば、すっかり廃墟になったあの建物は私の通っていた旧校舎だったなあ。
寄り道をして中に入る。懐かしいのに、どこか遠い廊下。
ガラスのない窓に寄りかかりって、沈んでいく夕日をぼんやりと眺めていた。
やがて暗闇が世界を塗りつぶしていく…。
まるで世界の終わりみたい。
ああ、
そうか、
あたし
分かっちゃったんだ。
この世界はあの日の前の、とっくのとうに終わってる。
だから壊しちゃったっていいんだよ。
ウフフ。
アハ、アハハハ……。